1.子育てによい環境をつくる 環境は親がつくるもの。 生活習慣もその一つですが、それは子育ての前提条件と考えています。 子育てによい環境とは、まずは、子どもがテレビやゲームよりも面白いことを提供すること、そして親が子どもにとことん付き合い、そばで見守り、自立を促すそういう環境だと思います。モノを与え過ぎないこともその一つです。 親が叩く、何でもダメという、すぐに手を貸すことはいい環境とは思えません。反対にダメと言わずに黙って見守る忍耐こそが子育てに大事な環境だと僕は思います。 また、勉強についても、特に小学校の勉強は、「地頭」を鍛える大事な時期で、ヨコミネ式で有名な横峯吉文氏は「小学生が最も集中し、飽きずに楽しみながらできるのは、読み・書き・計算をそれぞれ30分ずつ勉強すること」(横峯吉文著「今すぐ実践!小学生からの天才の育て方」小学館新書)と言っています。これも親がつくるべき環境であり、生活習慣でしょう。
2.親が価値観を持つ 僕は我が子に、スーパーキッズになってほしいとか、天才になってほしいとか、一流のアスリートになってほしいとは思っていません。 それよりも、長い人生の全てのライフステージにおいて、生きる喜びを感じながら、イキイキと生き、人生の最後の最後まで楽しい人生を送ってほしい、生涯を通じて「クオリティ・オブ・ライフ」を充実させてほしいと願っています。 それは決して楽な人生を送ってほしいというのではなく、人生のいろんな坂(上り坂、下り坂、”ま坂”!?)の全ての局面を楽しんみながら乗り越えていって欲しい、それを楽しめるだけのメンタルと体力を身につけてほしいと思っています。
親の役割として、環境づくりに続いて大事なことは、親が価値観を持つことだと思います。親の価値観は子供に伝わると言われています。もし親が価値観(自分のあるべき姿)を持たなければ、子供もどんな大人になっていいかわからず、いろいろなものに目移りするだけの生き方になってしまうでしょう。 しかし、親が価値観を持つことと、子供に同じ価値観を押し付けることは違います。親にできることは、親が自分の価値観を大事にして日々の生活を過ごすことです。その姿や様子を見て子どもに伝わっていくのだと思います。
結局、親の価値観を無理強いしてもいい結果は生まれないと思います。 同様に親の自己実現を子供に求めることも間違いです。親の価値観と子供の価値観は違うし、人生も生き方も別々だということに早く気づき、子供のサポート側に回るべきです。
3.親がコーチとなってコーチングする 子育ての基本はヘルプでなく「サポート」です。 中国のことわざに、こんなことわざがあります。 「ある人に魚を一匹与えれば、その人は一生食える。魚の取り方を教えれば、その人は一生通して食える」 この言葉は、コーチングや子育て等様々な場面で引用されています。子どもの成長に大切なことは自立です。自立を促すには、学ぶ者に対して、答えを教えるのではなく、その説き方を教え、自分でできるようになることをサポートすることが大事だということです。だから子育てもコーチングと言いたいのです。
また、NPO法人ハートフルコミュニケーション理事長の菅原裕子さんは、コーチングとは「人の能力を開発すること」であり、「その場を提供したり、能力の開発をお手伝いする人」をコーチと言っています。(菅原裕子著「子どもの心のコーチング」PHP文庫)
親ができることもコーチができることもサポートだけということです。
また実際にコーチングをする時のために、コーチになるための知的な道具についてもしっておくといいと思います。
COACHに必要な道具Comprehension(理解)…知識と子育て全般に関する基本的な理解Outlook(人物像)…価値観の優先順位を持つAffection(愛情)…子どもへの愛情と活動への情熱Character(人格)…コーチは子どもにとって人生のモデルHumor(ユーモア)…ちょっとした笑いが心のバランスを助け、ミスを前向きに、しかし偽ることなく見つめる助けとなる(米国スポーツ教育プログラム編/後藤新弥訳「キッズ・サッカー教本」日刊スポーツ新聞社出版)
スポーツ等のコーチには資格が必要ですが、子育てのコーチングは、親なら誰でもできます。子育てのコーチングの基本は、常に子どものそばにいてやり、黙って見守り、励ましの声をかけて自立をサポートすることです。