あれは、フローだった!なぜ、そういえるか。それは、無の境地を味わったからである。ヘルメットの後ろ側と右肩に激しい衝撃を受け、身体のどこかがグチャっといった気がした。確かにすぐに起き上がれなかった。一番痛いところを左手で探すと鎖骨の辺りの異様な盛り上がりがわかった。折れてる!ボーっとしていたわけではないが、何が起こったのか思い出そうとしても、何も思い出せない。滑り出し3ターンくらいまでは覚えている。ブーツの内側が雪面につくくらいまでおもいきり倒して、イメージ通り低い姿勢でスキーを操作し、いままでの自分の足元でしか操作できないいつもの滑りとは明らかに違う感覚に酔いしれ、その感覚に全神経を集中していたことは覚えている。失敗や恐怖を乗り越えて、新しい世界に挑戦した結果だった。骨折はショックだったが、そういう勇気が自分にあることを証明できたことは、ある意味でうれしい。でもその代償が、人生初の骨折だったことは、自分の人生の中で取り返しのつかない大きな損失であることに間違いない。 ケガはチャンスという言葉もあるが、今は、どこまで回復するのか、その不安の方が大きい。 いくら後悔しても、今までの自分はもういない。46歳、マイナスからのスタート。どう乗り越え、どこまでいけるかを、記録してみたくなった。もともとブログを書く趣味はないし、できればプライベートは内密にしておきたい派なのだが、同じ境遇の人と情報を共有したくなった。